『あの環境、なんであんなに苦しかったんだろう』
ふと、振り返ると、そこには多くの職場や人間関係で見られる『テイカー』に消耗しきっていた自分がいました。
この記事は、そのもやもやした苦しさの正体を「テイカー」という概念から解き明かし、あなたが自分らしさを取り戻すためのヒントを提供するものです。
テイカー(Taker)とは、組織心理学者アダム・グラントが提唱する概念で、『受け取る専門』の人たち。自己利益しか考えず、与えることを惜しむ人々です。
この記事が、テイカーに悩む方の助けになれば幸いです。



職場によくいる「テイカー」たちの特徴
1. 都合のいい仕事だけ取り合い、面倒・大変な仕事は巧妙に回避するタイプ
このタイプの人は、利益率のいい仕事や評価されやすい仕事には積極的ですが、日常的な業務や大変な作業には関わろうとしません。結果として、チーム内の業務負荷の偏りを生み、他のメンバーのモチベーション低下を招く原因となります。
2. 「自分はこの仕事しかしない」と主張するタイプ
このタイプの人は、自分のスキルを高めるための挑戦も、チームのために助け合うことも一切しない。自分の快適圏から一歩も出ようとしない姿勢は、周囲に大きな負担を強いていくことになります。
3. 重要な局面で突然、取り付けないような理由(家族の病気など)で姿をくらませてしまうタイプ
重要なプロジェクトや締切の迫った面倒な仕事が舞い込むたびに、決まって「実は親が倒れてしまって…」と連絡してくるタイプ。最初は心配しますが、あまりに頻発すると信じられなくなっていきます。
4. 自分の立場のみを守ろうとするタイプ
自分のミスは決して認めず、その場しのぎの言い訳を重ねて責任を回避するタイプ。約束は簡単に破り、都合が悪くなるとすぐに連絡が取れなくなる。自己保身しか考えていない姿勢は、チームの信頼関係を根本から破壊していきます。
テイカーだらけの職場がもたらす変化
テイカーだらけの環境で過ごしていると以下の変化が訪れます。
モチベーションの低下
「どれだけ頑張っても自己中な人たちが得をするだけで、頑張りが報われない」という気持ちが生まれ次第にやる気がなくなっていきます。
精神的・身体的疲労
嘘やごまかし、責任転嫁に常に気を張っていなければならず、非常に消耗するようになります。
創造性の枯渇
心理的安全性が完全に失われ、新しい挑戦や創造的な発想をしようという気力がなくなります。
人間不信
誰の何の言葉も信じられなくなり、疑心暗鬼に陥るようになります。
テイカーだらけの職場から抜け出すと訪れる変化
テイカーがいない環境に身を置くと以下のような変化が訪れます。
心理的安全性の確保
失敗を恐れずに意見や挑戦ができるようになっていきます。
相互尊重
お互いの時間と労力を尊重し、感謝の言葉が自然と交わされるようになります。
健全な成長
各々の能力を掛け合わせて助け合いながら成長していけるようになります。
この環境に移って初めて、「あの環境がいかに異常だったか」を痛感しました。そして、自分自身の心の余裕と、人に親切にしたいという気持ちが戻ってきたのです。
「もしかしたら、あなたの職場もテイカーだらけかも?」セルフチェックリスト
- なぜか自分ばかりが面倒な仕事を押し付けられていないか?
- 周りに自己責任を放棄し、他者に依存する人が多いと感じないか?
- チームで成果を出しても、自分の貢献が正当に評価されないことが多いか?
- 職場の会話が「誰かの悪口」や「責任のなすりつけ合い」になりがちではないか?
- 仕事に行く前の日や朝、憂鬱な気分になることが多いか?
いくつ当てはまったでしょうか?当てはまる数が多いほど、あなたの環境は「テイカー」が占めている可能性があります。
今すぐできる!テイカー環境での自己防衛術
理想はテイカーのいない環境に移ることですが、それがすぐにできない場合もあります。そんな時は、以下の方法で自分自身を守りましょう。
境界線を引く
「できません」「今は手が離せません」とはっきり伝える練習を。無理な頼み事をされたら、代わりに「〇〇なら協力できます」と代替案を提示するのも有効。
仕事の記録と可視化を心がける
テイカーはあなたの功績も自分の功績にしてしまいます。自分が関わった仕事の内容や成果は、メールや社内ツールで記録に残し、チームで共有する習慣をつけましょう。これにより、あなたの貢献が「見える化」され、立場が守られやすくなります。
情報管理を徹底する
テイカーは常に自分の利益になる情報を探しています。あなたの成果やアイデア、人的ネットワークなど、不用意に共有する必要のない重要な情報の管理を徹底することで、利用されるリスクを減らせます。
エネルギーを補充する場所を見つける
職場以外で、信頼できる友人や家族、趣味のコミュニティなど、自分を癒やし充電できる場所を確保しておきましょう。
長期的な計画を立てる
この環境が「永遠」ではないことを自覚する。スキルを磨く、転職サイトに登録するなど、将来の選択肢を広げる行動を小さくでも始める。
今、テイカー環境にいるあなたへ
もし今、この記事を読んでいて『自分も同じだ』と感じた方がいらっしゃったら、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
あなたのその苦しみは、決してあなたのせいではないということ。そして、あなたがどんなに頑張ってもテイカー自身を変えることはできないということ。
まずは『距離を置く』『真剣に関わりすぎない』『自分のリソースを守る』という自己防衛から始めてみてください。
あなたの大切な時間とエネルギーは、テイカーに奪われるほど安いものではありません。
ぜひ、自分を大切にできる環境を見つけてください。



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